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「左腎にがんが見つかった48歳までは、忙しくて睡眠不足、食生活もぞんざい。冷たい清涼飲料水が大好物だった」と話すのは、船戸崇史先生。
まさか自分ががんになるわけがない
「人間ドックで左腎に6cmの腫瘍が見つかりました。ステージは1bですが、転移があればステージ4になる可能性もありました。現実を受け入れられず『医者の私ががんのはずがない』と、かたくなに受け入れられなかったですね」(船戸先生、以下同)
信じ切れず、ほかの医師にCT画像を診てもらったり、関連する文献を調べ続けた。
「もし私が死んだら、妻や子ども、クリニックやスタッフはどうなるだろうと次々と不安が押し寄せ、怖かったです」
ショック状態から時間を経て、「神様が自分の身をもって治療法を探せと言っているのかも」と思えるようになった。
「今までがん患者さんにしてきた治療法を自分で試せる機会です。そうすれば患者さんたちの痛みや苦しみも体感できる。それで手術を受ける覚悟を決めました」
腎臓がんは抗がん剤や放射線治療も効きにくいため、左腎を全摘出することに。
「今までは自分がメスを入れるほうでしたので、初めての体験に少しワクワクしました。でも術後に麻酔が切れると、傷に割り箸が入っているようで、めちゃくちゃ痛かった(笑)。その痛みに懲りて生き方を変えようと決意しました。患者さんには『がんは生活習慣病ですから、生活を見直して』なんて言ってたのに、自分の生き方には無頓着でした」