抗がん剤1クール目は入院して治療が行われた。

「点滴は合計3回行います。1~2回は2時間程度、3回目は46時間かかります。副作用が一番つらかったのが、1クール目。初日は冷や汗、しびれ、だるさが続き寝られませんでした。高熱が出ていたし、吐き気が強くて食欲もなく、1週間で4キログラムも体重が減ってしまいました」

セカンドオピニオンの重要性

 打撲のような痛み、帯状疱疹、手足のしびれなど8種類もの副作用が出たという。

「8日目からは体調が回復し、元気になりました。このまま体重が減り続けたら、やせ細って体力がなくなると心配になり、病院食以外におにぎりやお菓子などカロリーがあるものを積極的に食べ、1週間で体重を戻しました」

 2クール目からは通院治療となり、抗がん剤の点滴をつけて帰宅した。バッグのようにぶら下げた点滴の袋を「フォルフィー」と呼ぶなど、明るく過ごす工夫を動画で公開している。

「毎回、1週目は体調が悪く、ベッドやリビングでだらだら過ごしているので“干物ウイーク”と呼んでいます(笑)。食いしんぼうなので元気になったら食べたいものや、何をしたいといった、楽しいことを考え、ポジティブでいようと心がけています」

 感情が高ぶったときに、まぶたが痛くなる、といった思いもよらない副作用もあったが体調は良くなっていった。がんが判明後に2人は結婚し夫婦となったが、自宅を引き払って旅を始めたため、自宅療養を送るための住居を急いで探したという。

「体力が落ちて階段を上れなくなることもあるので1階で、闘病生活を快適に過ごせる物件を探していました」(こうへいさん、以下同)

 検査や治療だけでも大変だが、物件探し、家具の調達など、やることが山積みだった。さらに夫婦を悩ませたのは、治療費だった。

「標準治療なので保険適用になり、高額療養費制度の利用も行えました。入院でかかったのは約16万円。さらに、抗がん剤治療で月々10数万円の出費があります。制度を熟知していないので、戻ってくるお金もあるかもしれませんが、当面の出費がつらいですね」

みずきさんが“干物ウイーク”にどういった副作用があるかを再現し、紹介した(元気なときに撮影)
みずきさんが“干物ウイーク”にどういった副作用があるかを再現し、紹介した(元気なときに撮影)
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 人気ユーチューバーとはいえ、まだ2年目。治療費の支出は家計を圧迫する。

「医療保険に入っていればと後悔しています。2人とも旅を始める前に『保険に入りたいね』とは話していたんですが、忙しさにかまけてそのままにしてしまいました。独身だったこともあり、今すぐ医療保険に入る必要性を感じていなかったんです」

 また、出費はほかにもある。

「セカンドオピニオンは自由診療になり、1件につき2万~4万円。今までに5~6件は受けました」

 費用はかかるが、受けてよかったというこうへいさん。

「『本当にすい臓がんなのか?』という疑問を解決してくれました。セカンドオピニオンでも、すべてすい臓がんという診断で、治療法も標準治療である抗がん剤治療をすすめられました」

 セカンドオピニオンは気持ちの整理の助けになるという。選び方のポイントは、

「病院の得意分野を考慮して探すといいかもしれません。外科手術に強い病院、抗がん剤治療や放射線が進んでいる病院など、それぞれ特徴があるからです」