マイナンバーについて、実際の業務を行うのは、組合のような下部組織。国が考えたシステムを使わざるを得ない。
「組合に対しては当初、被害者だと思っていました」(Aさん)
今回の事件の被害者であるAさん自身、同情するような気持ちがあった。しかし......。
謝罪の後、組合の態度は一変する。Aさんは現状の説明では疑問が多く残り、追加で問い合わせた。以下はその際のやりとり。前回の担当者は不在で、担当の“上長”なる人物が応対した。名前を求めるが、頑なに名乗らない。やりとりは音声データとして残されており、それを聞くと……。
組合上長の発言に唖然
「なんでうちに関係のない方に名乗らなきゃいけないんですか?」(組合上長、以下同)
第三者として客観的に判断すれば、Aさんの語気も少々強かったかもしれない。ただ、事が事であり、Aさんは紛れもなく“被害者”。しかし、ミスを犯した組合の上長が発する言葉は突き放すようなものばかり。
「(組合に)籍がない人に、散々何度もお電話いただいていて、こちらの業務邪魔されてるんですけど、それはそれでいかがですかね?」
“籍がない”。Aさんはこの組合に登録していたBさんの情報が誤ってひも付けられてしまったのだ。この組合に籍などあるわけがない。
「その間、われわれ仕事止まるんですよねぇ」
「こちらに一切責任はありませんので」
上長は同じ言葉を繰り返す。
そして「説明も足りて……(ない)」というAさんの言葉を遮るように……。
「聞けよ!!」
と声を荒らげて言い放った。
「うちは! 国から提供されたシステムを使って作業してるだけですので、うちの責任ではないです」
驚くべき言葉を続ける。
「システムの不具合も重々承知してますし、それを使って作業しろというのは国でありますので、それで被害を被ったとおっしゃるのであれば国に言ってください」
Bさんに対して説明は組合がするのかと聞くと。
「そうですね。われわれになりますけど、それはあなたに関係ない話ですよね?」
「(他人の情報を)見てしまったのは国のせいで、われわれの責任ではありませんので」
話に食い違いが出ないよう録音している旨を伝えた。
「そういうことまでされてしまうと、うちのほうも弁護士さんと相談させていただこうかと思っているんですけど」
「そんな(録音という)失礼なことをしない組合ですので。あなたと違いますので
謝罪と「責任はない」は矛盾する。当初の謝罪の意味とは……。Aさんは現在も組合などとやりとりを続けている。