若返り5:人と関わり孤独にならない
孤独は脳の刺激を減らすハイリスク生活
年とともに外出がおっくうになったり、人とコミュニケーションを取る機会が減ったりと、社会との距離ができてしまうのはよくあること。しかし、浦上先生は「社会的孤立は認知症の危険因子のひとつ」と警鐘を鳴らす。
「外出すると、脳はさまざまな刺激を受けます。誰かとおしゃべりをすれば、相手の声を聞き、表情やしぐさから内容を理解してその意図を把握したうえで、適切な返事を言葉にして発する。このように、コミュニケーションは脳機能をフル稼働させる行為なのです。
そのため、高齢になって朝から晩まで誰とも会わず、社会から孤立していると認知症リスクは非常に高まります。私も一人暮らしの高齢者の患者さんには、積極的に外に出るようにお伝えしています」
高齢者に孤独は禁物。しかし「長く続いたコロナ禍の自粛生活によって、認知症が悪化してしまった高齢者も多い」と先生。
「当時は『屋外を散歩するなど、感染症を予防しながら外出しましょう』と患者さんにアドバイスをしていました。しかし、お子さんが外出を許してくれないケースが多く、認知機能が低下してしまった方も少なくないです。
やっと以前の生活が戻りつつあるので、外に出て他者とのコミュニケーションを楽しみましょう。地域で実施しているサロンやカルチャースクールなどに参加すると、刺激になって新しい交流も生まれます。認知症の初期は、出無精になる人もいるので、家族や友人が背中を押してあげましょう」
《コミュニケーションが苦手な人は……》
・目標を小さくする
無理をして苦手なことに取り組むとかえってストレスになる。店員さんに話しかける、孫に電話をするなど、少し頑張ればできそうなことから始めて。
・目標達成は“絶対”ではない
「誰かと話さなければならない」と気負わず、「タイミングが合ったら話せるといいな」くらいに考える。
・ペットとのコミュニケーションでもOK
ペットは言葉を話せないので、こちらで察しながら世話をするので脳の刺激になる。ペット型ロボットでも。