アルコール摂取で乳がんリスクが高まる
倉持先生は、女性のアルコール依存症には男性よりも深刻な側面があると話す。
「アルコールが肝臓に負担をかけることは知られていますが、女性は男性よりも短期間でアルコール性肝硬変になりやすいんです。肝臓は沈黙の臓器とも呼ばれており、目立った自覚症状がないまま肝硬変から肝臓がんへと進行していきます。
また、膵臓(すいぞう)に急性の炎症を起こす急性膵炎の2大原因のひとつがアルコールです。膵臓の正常な細胞が壊れる慢性膵炎は、全体のうち70%をアルコール性慢性膵炎が占めています。
慢性膵炎の患者さんは男性のほうが多いものの、女性はより少量のアルコールとより短い飲酒期間で膵炎を発症するため、注意が必要です」
年々、罹患者が増えている乳がんにもアルコールが関与しているという。
「約5万人の日本人女性を対象にした大規模調査によって、週に150g以上エタノール(アルコールの一種)を飲酒するグループは、飲んだことがないグループに比べて乳がんリスクが1.75倍(約75%)も高いことがわかっています」
ほかにも、過剰なアルコールの摂取は骨粗鬆(こつそしょう)症のリスクを高め、将来的に骨折のリスクが高まることも判明している。
お酒別の1日の適正量(男性20g ※女性はその半量程度)
ビール……500ml
日本酒……1合
ウイスキー……ダブル(約60ml)
赤ワイン……ボトル(780ml)1/4本