始める前に情報を吟味し自分に合ったチョイスを
時折、「〇〇に効く」と書かれた健康食品を見かけることはないだろうか。これは「医薬品医療機器等法」や「健康増進法」違反のおそれがあり、本来はこのような言葉を商品に使ってはいけない。
「とはいっても、補完代替療法を“お守り”だと心の支えとして、取り入れる人もいるかもしれませんね」
もし、自分で使ってみたいサプリメントがあるのなら、使う前にそのサプリメントの情報を集めて検討することが大事。そして、商品の良い点だけに注目せずに、メリットとデメリットの両面があることを覚えておこう。
厚生労働省が行った補完代替療法を利用した人が感じるメリット&デメリットの調査では、メリットに「体力・免疫力が高まる」と感じている人が最も多く、「病気の治療につながる」「病院の治療に比べて副作用が少ない」ことを挙げている(※a)。※aは『がんの補完代替医療ガイドブック』より
反対に、デメリットは「副作用が気になる」が最も多く、「依存してしまいそうな気がする」などが続く。
大野先生は補完代替療法の情報を自分で正しく判断して取り入れるために、気をつけたいことが3つあると話す。
1つは、最初に見た情報をうのみにしないこと。
「まずは自分なりに情報を吟味してみてください。例えば、『健康食品でがんが消えた』という体験談があったら、『健康食品だけでなく、抗がん剤治療も受けていたのでは?』と考えてみましょう」
2つ目は、情報について柔軟に考えること。
「情報の一面だけをとらえず、さまざまな角度から考えるようにします。例えば、話題の健康情報などがあったら、がん患者さんは、その情報の良い点ばかりに目が向いてしまうでしょう。けれど、良くない点を調べるなど、ほかの面からも柔軟に考えることです」
3つ目は、情報を単純に考えないこと。
「例えば、健康食品のパッケージに“〇〇大学の教授も推薦”と書かれていると、権威のある人が推薦しているから良い商品だと、単純に信用してしまうことがあります。権威者の意見や肩書だけで判断しないで、情報の内容をよく確認します」