究極の腸活は酪酸菌をいかに増やすか

 消化器専門医の江田先生は「腸の不調は万病のもと」と語る。

「ストレスを感じるとお腹が痛くなるように、腸と脳が影響し合っていることを『腸脳相関』と呼びます。脳以外にも、肝臓、腎臓、皮膚、筋肉など、腸と相関関係にある身体の部位は数え切れません。それくらい、腸は全身の健康を司っているのです」(江田先生、以下同)

 腸内環境を良くするには「偏りなくいろいろな食べ物を食べることで、腸内細菌を多様にすることが重要」とのことだが、なかでも最近注目なのが「酪酸菌」という善玉菌だ。

「酪酸菌は、悪玉菌が好み、善玉菌が嫌う、腸内の酸素を減らしてくれる効果があります。コロナ禍では、コロナの感染や後遺症の悪化を予防することで注目を集めた、“究極の善玉菌”なのです」

腸活1:5つの小鉢を毎日食べる

 腸内細菌の多様性を高めるには、さまざまな食べ物を食べることが推奨される。江田先生は「1日3食の中で、5つの小鉢料理を食べるようにしています」と話す。

 メインはごぼうなどの野菜で、ほかにはきのこ、海藻など、食物繊維が豊富に含まれている食材を使うことが多いとか。小鉢にすることで、少しずつ、いろんな食材を食べることができるのだ。

腸活1:5つの小鉢を毎日食べる※写真はイメージです
腸活1:5つの小鉢を毎日食べる※写真はイメージです
【写真】健康な腸を実現するための“究極の腸活”食生活

腸活2:歯磨きは食前にも

 寝ている間に増殖する口腔内の雑菌や、歯と歯の間のガス産生菌も、腸にとっては悪影響となる。朝起きたら朝食前に歯磨きをして汚れを取り除き、食べ物と一緒に雑菌を体内に取り込まないようにしよう。

「歯周病菌が腸で繁殖すると大腸がんの原因になるということがわかっています。寝る前に歯間をデンタルフロスで丁寧に磨けば雑菌の繁殖を抑えられるので、忙しい朝は口をゆすぐだけでもOKですよ」

腸活2:歯磨きは食前にも※写真はイメージです
腸活2:歯磨きは食前にも※写真はイメージです

腸活3:かわいいものを見て愛情ホルモンを分泌

 腸にストレスがかかると脳からストレスホルモンが分泌され、それが腸に伝わると炎症が起きてしまう。

「このストレスホルモンの働きを弱めるには、オキシトシンという愛情ホルモンが効果的。そのためには、動物や赤ちゃんなどかわいいものを眺めましょう。動物の動画を見るのもいいですね。ちなみに私は日々愛犬のパグをなでて、癒されています(笑)」

腸活4:“自分ホメ日記”でメンタルを整える

「悪いことが起きると『自分は本当にダメだ……』と落ち込むことがあると思いますが、落ち込みやすい人は腸の調子が悪くなりやすいことがわかっています」

 ネガティブ思考に陥りやすい人に試してほしいのが、寝る前に「自分ホメ日記」を書くことだ。

「自分をホメちぎったり、今日うれしかったことを紙に書き出して感謝したりすると、極端なマイナス思考に陥らなくなるということが論文でも証明されています」

腸活4:“自分ホメ日記”でメンタルを整える※写真はイメージです
腸活4:“自分ホメ日記”でメンタルを整える※写真はイメージです

腸活5:腸にやさしいバナナ&キウイ

 バナナに含まれるトリプトファンは、腸の中で消化吸収されると幸せホルモンのセロトニンになり、代謝されて睡眠ホルモンのメラトニンになる。つまり、バナナは睡眠の質を上げてくれるフルーツなのだ。

「FODMAP(フォドマップ)と呼ばれる、腸で分解されにくく腸に負担をかける糖類があるのですが、バナナは低FODMAP食。キウイもFODMAPが低いうえ、酪酸菌を増やすのでおすすめです」

腸活5:腸にやさしいバナナ&キウイ※写真はイメージです
腸活5:腸にやさしいバナナ&キウイ※写真はイメージです
江田証先生●江田クリニック院長。日本消化器病学会奨励賞受賞。『新しい腸の教科書健康なカラダは、すべて腸から始まる』(池田書店)をはじめ、数々の腸に関する本を上梓している。
江田証先生●江田クリニック院長。日本消化器病学会奨励賞受賞。『新しい腸の教科書健康なカラダは、すべて腸から始まる』(池田書店)をはじめ、数々の腸に関する本を上梓している。
江田 証先生●江田クリニック院長。日本消化器病学会奨励賞受賞。新しい腸の教科書 健康なカラダは、すべて腸から始まる(池田書店)をはじめ、数々の腸に関する本を上梓している。