血流を改善して筋力も高める

「人の身体は年齢を重ねるとともに、さまざまな不具合が出てきます。それは細胞の代謝や自律神経機能の低下、新しい血管が生まれにくくなることが主な原因です。特に血管の99%を占める毛細血管は、身体中あらゆる組織に分布していますが、加齢とともに血管が硬く、狭くなったりして、血流や代謝の低下につながるのです」

 良質な血液が身体中に行き届かない、つまり血流障害に陥ってしまうと、脳梗塞や心筋梗塞を引き起こすリスクが高まる。

「毛細血管を再生し、血流をよくするには呼吸と連動した運動が最適な方法であると、科学的にも証明されています。深く長い呼吸をすることは心拍を整え、自律神経のバランスを改善するのにもつながる。ロングブレスは、まさに理想的な健康法です」(末武先生)

ロングブレスで長生きできる理由

 なかには、加齢による頻尿や便失禁などの排泄(はいせつ)トラブル、高血圧や高血糖などの生活習慣病に効いたという声も。

「ロングブレスは、お尻の筋肉をぎゅっと締めるので、肛門括約筋や骨盤底筋群が鍛えられ、症状を改善できます。私が講演に行った老人ホームのみなさんからも、効果が実感できたとのお声をいただきました」(美木さん、以下同)

 また、自身の母にもロングブレスをすすめたそう。

母は2年前に脳内出血で倒れて、緊急手術を受けました。2週間ほどの入院で退院できたものの『立てるけど、歩けない』状態。これはリハビリを始める前になんとかしないと、と思って、ロングブレスを実践してもらったところ、なんと、1日目から歩けるようになりました。85歳の今もすごく元気です

 ここまで聞くと、ロングブレスは習得の難しい特殊な呼吸法かと思ってしまうが、やり方はとてもシンプル。今回は、ロングブレスに必須の基本の呼吸、ロングブレス、スクワット法について『無敵の100歳』から紹介する。