また、長年一緒に働いてきた同期4人の存在も大きいと話す田巻さん。

「私が65歳のとき、“海外に行けるのはこれが最後だね”って4人でイタリア旅行に行きました。同期を含め、いろいろな人に応援してもらったからこそ、ここまで続けてこられたと思います」

 高齢になり、体力的につらいと感じることはなかったのか。

「初めは1日7時間、週5日の勤務でしたが、60歳を過ぎて体力の変化を実感し、週3日勤務に減らしました。3年前には膝を痛めましたが、レジはほとんど歩かずにすむので休まず続けられました。

 もともと忙しいのが性に合っているので身体が元気な限りは、80歳まで働きたいですね。ビックカメラのパート・アルバイトは採用も勤務も年齢不問で、長く働く人が多いんです。

 これから高齢者になる皆さんはデジタル世代で、レジ一つとっても私たちよりスムーズにできるはず。心配せず働きに来てくださいね」

孫と娘が一緒だから頑張れる。目標は生涯マクドナルド!

 娘、孫と一緒に、親子3代でマクドナルドのアルバイトをしているのは、76歳の山崎りつ子さん。もともと飲食店で働いていて、結婚後は40代半ばから70歳手前まで約20年間、寿司屋さんの洗い場を担当していたそう。

「23歳で結婚し、子ども2人、孫6人、ひ孫1人に恵まれました。洗い場の仕事は楽しくやっていましたが、年齢が進むにつれて大きなお皿の配膳などの力仕事がつらくなり、退職を決意。

 そのとき、娘と孫がマクドナルドで働いていたので一緒に働きたいと思い、2017年からマクドナルドで働き始めました。自転車で10分という通勤時間の短さも決め手でしたね」(山崎りつ子さん、以下同)

 現在は、客席や厨房(ちゅうぼう)の清掃係と店舗駐車場の植栽のお世話を担当し、週3日、昼の時間帯に3~4時間ほど働いている。70歳目前で新しい仕事を始めることに不安はなかったのか。

左から孫のすみれさん、娘の友美さん、山崎りつ子さん。すみれさんはバリスタ、友美さんはカフェマネージャーを務めている 撮影/矢島泰輔
左から孫のすみれさん、娘の友美さん、山崎りつ子さん。すみれさんはバリスタ、友美さんはカフェマネージャーを務めている 撮影/矢島泰輔
【写真】親子3代でマクドナルドのアルバイトをする山崎りつ子さん

「接客業をしていたころの経験から不安や苦労は感じませんでした。それに、マクドナルドに行けば、近くに住んでいても会う機会の少ない孫や娘の元気な姿を見られるのが何よりうれしくて……。

 マクドナルドに来店する小さいお子さんとお話しするのも楽しみですね。日々、とてもやりがいを感じています

 そんな山崎さんの目標は、生涯マクドナルドで働くことだそう。

自分が元気な限り、娘や孫と一緒に働き続けたいです。シニア世代だからこそ、やりたいと思ったことはどんどんやるべき。何歳になっても挑戦していきたいですね

トレーを拭く山崎さん。趣味は、身体を動かすことで定期的にフィットネスジムに通っている 撮影/矢島泰輔
トレーを拭く山崎さん。趣味は、身体を動かすことで定期的にフィットネスジムに通っている 撮影/矢島泰輔

取材・文/井上真規子