手や頭皮が乾燥するように、加齢による女性ホルモンの低下で、膣も乾燥しやすく、かゆみが出てくるように。ケアを怠ったり関心を向けないと、病気に気づけないことも……。ほかにも尿漏れやにおいのトラブルなど、フェムケアに詳しい美容外科医に聞いた。
慢性的な不快感や炎症の原因にも
2月19日は語呂合わせから、「フェム(2)テッ(10)ク(9)を学ぶ日」だそう。最近よく耳にする“フェムテック”や“フェムケア”って何?
「フェムケアとは女性(Feminine)とケア(care)を組み合わせた造語で、膣のケアをはじめ女性の身体や健康にまつわるケアのこと。フェムテックはそれらの悩みを解決するための商品やサービスのことです。
女性は生理痛、月経前症候群、更年期など、女性ホルモンの影響を強く受け、一生涯悩みはつきません。人生100年時代といわれる今、心身共に健康でい続けるために、どの世代にとっても重要です」
と話すのは、美容外科医の櫻井夏子先生。
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櫻井先生は婦人科形成を専門にする、いわば“膣のスペシャリスト”だ。
「50代~60代は閉経を迎えて、性交渉への積極性も減り、デリケートゾーンへの関心が薄れていく世代。それゆえに、乾燥やかゆみなどの異変を感じても、放置してしまうか、そもそも気づかない人も多い。
女性ホルモンの分泌量が減ることで、デリケートゾーンが乾燥しやすく、そのままにしておくと、慢性的な不快感や炎症の原因にもなります」(櫻井先生、以下同)
膣炎になると排尿痛やにおいのもとになる。
「女性ホルモンは筋肉の維持にも関係しているので、子宮や膣、膀胱を支える骨盤底筋群も衰えます。すると、尿漏れや、子宮が体外へ出てしまう子宮脱になり外科的な手術が必要になることも。こうした女性ホルモンの低下による身体の変化や、性器のトラブルに早めに関心を向けると、シニア世代以降も快適な陰部で過ごせます」
膣ケアは何から始めるのが正解?
「まずは外陰部を鏡で見てみましょう。スキンケアの時に顔を鏡で見るように、シワやたるみ、炎症がないかなど日頃からチェックを。デリケートゾーンを見たり触れたりするのは、恥ずかしい、タブーと思っている方が多いですが、目視することで気づくことはたくさんあります。
例えば、乾燥による大陰唇や小陰唇のひび割れは、軽症の場合は無症状なので目で見ることではじめてわかるのです。ひび割れから菌が入り込んで炎症を起こすこともあるので、痛みがない場合は、清潔にした後に保湿をして悪化を防ぎましょう」