健康神話の落とし穴!? 玄米は発がんリスクも
健康や美容にいいとされる食品のひとつに、玄米や全粒粉、きび砂糖といった未精製の「茶色い食品」がある。
「玄米に関しては、白米よりも血糖値が上がりにくいという科学的根拠があります。食物繊維も同じ量の白米と比べ4.7倍、ビタミンやミネラルが豊富。ただし、玄米を消化しづらい体質の人もいて、摂取により下痢や腹痛を起こすことも。
また、玄米の胚芽(はいが)やぬか部分には『無機ヒ素』が含まれています。食品安全委員会は『健康被害は認められない』としていますが、多く摂取した場合のリスクについては見解が分かれます」
さまざまな側面があるため、万人にとって身体にいいとは言い難い面もあるのだ。
「味の好みで玄米を選ぶのはいいと思いますが、嫌いなのに我慢して食べ続けることもないでしょう。その代わり、全粒粉小麦や野菜などで食物繊維を積極的にとることをおすすめします」
茶色い砂糖の代表格は、きび砂糖、黒糖、三温糖だ。
「確かに白砂糖と比べればミネラルが多めですが、ごくわずか。ほとんどが糖分なので、白砂糖より茶色い砂糖のほうが血糖値が上がりにくいということもありません。なお、白砂糖は結晶化して白く見えるだけで『漂白されている』というのはデマです」
遺伝子組み換え食品の事故は30年間で0件
一方で、「身体に悪い」イメージが定着し、悪者扱いされている食品も多い。その代表が遺伝子組み換え食品。
「遺伝子組み換えは品種改良の技術のひとつ。もともとは医薬品の開発に利用されていました。遺伝子を別の種に組み込むと聞くと、不自然なものを作り出すように思えますが、生物の進化の過程でも自然に起きていたことで、決して珍しいことではありません」
例えば、遺伝子組み換えで作られた、特定の除草剤が効かない作物は、除草剤をまいたとき、ほかの雑草は枯れるがその作物が残るため、生産者が雑草を抜く手間が省ける。
現在は北米や南米で遺伝子組み換えされた大豆やとうもろこし、菜種などが大量生産され、日本に輸入されている。地球温暖化によって米の生産に影響が出ているが、遺伝子組み換えで気候変動に強い稲の開発も進んでいる。
「こうした技術の進歩が、安定した食品の供給につながっているのです。また、日本では国が安全性を評価し、組み換えなしの食品と同等に安全とされたものだけを認めています。原材料の表示の基準も厳しくなりました」