目次
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ー スイスでは乳がんマンモグラフィ検診が廃止 ー 検診受診率が上がると急増するがん患者
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ー 治療しなくてもいい「がんもどき」で治療死
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ー 手術によって目覚める休眠がん ー 見逃せない検診の放射線被ばく
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ー 検診は医師や技師の失業対策 ー 健康なときに医師には近づかない

 

「私はすべてのがん検診を受けていませんし、家族も受けていません」

 と語ったのは、がん検診や治療の問題に取り組む医師、近藤誠先生だ。

近藤誠医師、近藤誠がん研究所所長(撮影/齋藤周造)
近藤誠医師、近藤誠がん研究所所長(撮影/齋藤周造)

「近年、がん検診も健診も有害無益、欧米ではがん検診を否定する潮流が生まれています」(近藤先生、以下同)

 日本では早期発見、早期治療が推奨され、がん検診を受けることを正しいと信じている人がほとんどだ。

「みなさんは何のためにがん検診を受けるのですか? がんで死なないためですよね。実は、がん検診の受診率が上がっても、がんによる死亡数は減っていません。むしろがん検診を受けたほうが死亡率が高い、というデータが日本だけでなく世界中であがっています」

 検診を受けたために、死亡することがあるというのだ。

「有名人の中にもいます。歌舞伎役者の中村勘三郎、坂東三津五郎、作家の渡辺淳一、棋士の米長邦雄、大相撲の千代の富士(先代九重親方)、女優の川島なお美さんらは人間ドックでがんが発見されたために命を縮めました。人間ドックを受けていなかったら、このうちの何人かは今も活躍していたかもしれません」