テレビで注目の「総合診療科」の実態は?

 テレビでは毎日おびただしいほどの健康情報が発信されている。特に重病、難病モノは人気だ。芸能人が健康診断をした結果、驚きの余命宣告をされたり、ちょっとした不調に悩まされ続けた結果、実はこんな難病奇病だった! と解明されたり。かなりセンセーショナルな内容が多い。

 そんな番組で最近よく聞くのが、「総合診療科」「総合診療医」という言葉だ。

 実際、疲れた、体調不良だといっても、何科に行くのがいいのか迷うことは多々ある。頭も痛いが耳鳴りもする、腰も痛いが不眠もあるなど、症状がココ!とピンポイントでなく、あちこちあるとなおさら。「総合」という言葉どおり、全部診てくれるなら、とても助かる。テレビの影響か、原因不明の疲れや体調不良の原因をたちどころに突き止め、ときには解明しにくい難病奇病の診断もできるイメージがある。

 どれほどスーパーな診療科なのかと、東京女子医科大学病院の総合診療科を訪ねてみた。前出の島本臨床教授から、返ってきたのは、私たちの心配を一掃する言葉。

「体調不良や疲れが実は難病だったというのは、ごくまれなケース。可能性がないわけではないが、数としては非常に少ない。そもそもテレビに出てくるような症例は、珍しいからこそ扱われるわけですから」

 そう、難病は数そのものが圧倒的に少ない。だからこそ患者会ができたり、医療費助成がある。客観的な事実を考えると、すぐに難病かも!? となるのはいきすぎた心配だということがわかる。日々臨床の現場に立つ医師にそう言われると、ホッとするものだ。

「テレビの影響は本当に大きい。先日も薬の数を心配する患者さんが続き、変に思ったら、前日のテレビの影響でした。内容にインパクトがあるので心配になるのはわかりますが、まずは自分を診てくれている医師を信用してほしい」