頼れるクリニックで自分メンテナンスを
私たちの身体は一生使い続ける精密機械のようなもの。機械と同じく、長く健やかに使っていくためには、それなりのメンテナンスをすることが大切です。
「フランスでは15歳から婦人科のかかりつけ医がつき、妊娠・出産はもちろん更年期のさまざまな不調も診てもらうことができるんです。例えれば、自分の髪質や好みをわかってくれている美容師さんがいるのと同じような感覚で、普段から女性医療に強いかかりつけ医を持っておくと、間違いなく閉経後の人生の質は上がります」
“ここだ!”と思うクリニックを見つけたら、定期的に診察を受けるのが賢明なのだそう。
「その医師のもとで定期的に検診を受けたりするだけでもいいんです。何度も通院するうちに自分の体質などをわかってもらえますし、人間関係を築くこともできます。また、自分のお金と時間を費やすことで自分なりの健康管理の方法がだんだん身についていくものなんです」
対馬先生自身、日々、患者さんの変化や成長を目の当たりにしているといいます。
「適切な治療を受けている患者さんはみなさん、会うたびに明るい表情になっていますし、見た目も実年齢よりもずっとお若いんです。
自分の身体とうまく付き合う方法を見つけることが、美と健康につながっているんですね」
対策1. 女性ホルモンの急激な減少を穏やかにする「HRT」に大注目!
「HRT(ホルモン補充療法)」とは、閉経前後から減りはじめる女性ホルモンを必要最低限の量、薬で補う治療のこと。女性ホルモンを物理的に増やすため、不調の改善はもちろん、髪や肌にうるおいが戻るという、うれしい恩恵も。また、骨粗しょう症の予防と改善、動脈硬化の予防など健康面でのメリットも見込まれている。飲み薬や貼り薬などいろいろな種類があり、更年期症状であれば健康保険が適用になる。
対策2. 保険適用にもなった「漢方薬」に期待
漢方薬は古くから更年期症状の治療に使われてきた。現在は健康保険が適用になり、漢方薬の利用率は高まっている。漢方ではひとりひとりの体質や体調を見極めて使用する薬を決めるため、医師の見立てが重要。漢方医学にも長けた婦人科の医師に処方してもらうのが理想的。また、HRTと併用しての治療も可能。
【3大漢方】
漢方薬は古くから更年期症状の治療に使われてきた。現在は健康保険が適用になり、漢方薬の利用率は高まっている。漢方ではひとりひとりの体質や体調を見極めて使用する薬を決めるため、医師の見立てが重要。漢方医学にもけた婦人科の医師に処方してもらうのが理想的。また、HRTと併用しての治療も可能。
◎加味逍遥散(かみしょうようさん)……やや虚弱体質で「気」「血」が乱れている場合に処方される。ホットフラッシュがあり、不眠やイライラ、落ち込み、やる気の低下、うつなど精神症状が強い人に。
◎桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)……体力はあるものの、のぼせる傾向がある人の「血」の巡りをととのえる作用がある。「ホットフラッシュがひどいけれど、HRTが使えない」という場合に最適の漢方薬」
◎当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)……主に「血」と「水」の異常をカバーする作用がある漢方薬。“女性の聖薬”と呼ばれ、冷え性や貧血に効果を発揮します。体力がなく、頭痛があり、元気がない人向き。