関係者から失笑されるゴシップドラマ
ドラマウォッチャーの神無月ららさんにも話を聞くと、
「遊川さん作品の“あるある”ですが、テーマを詰め込みすぎていて、風呂敷をちゃんとたためるのかなと……」
成田凌主演の『逃亡医F』(日本テレビ系)は同名の漫画が原作とあり、第1話から現実ではありえないシーンが満載。“トンチキ”ドラマとしてSNSを賑わせている。
「成田さん演じる恋人殺しの容疑をかけられた天才医師が、真犯人に復讐をするために逃亡。行く先々で目の前の命を助けるためにひと肌脱ぐというストーリーです。逃亡するために乗った船で起きた事故で、森七菜さん演じるヒロインは腕がちぎれかけるほどの大ケガをしているのにもかかわらず、冷静に話し続けるなど、漫画原作とはいえツッコミどころが多すぎます」(ネットニュース編集者)
前出の神無月さんは、「この枠にリアリティーを求めてはダメ」と笑う。
「日テレの土曜ドラマ枠は若い視聴者向けで、漫画原作が多い枠です。今回の演出家も『サイコメトラーEIJI』や『金田一少年の事件簿』などを手がけてきた方ですし、リアリティーを求める視聴者にはハマらないでしょうね」
今回、ネット上を中心にツッコミが相次いでいるのは、そのキャスティングに理由があると分析する。
「演技派の成田さんが主人公を演じたため、ファンタジーの世界に振り切れず、違和感が出てしまいましたよね。SNSではやりすぎな演技と指摘されている松岡昌宏さんですが、この世界観なら松岡さんぐらいのオーバーな演技が正解でしょう」(神無月さん)
ネットニュース編集部を舞台にした黒木華主演の『ゴシップ#彼女が知りたい本当の○○』(フジテレビ系)。月間50万PV(ページビュー)の弱小ゴシップサイト『カンフルNEWS』を立て直すべく、経理部から異動してきた主人公が、事件の真相に迫るというストーリーだが、メディア関係者からは失笑の嵐だ。
「月間50万PVの収益では、編集部員1人分の給料を払うのがやっとでしょう。ドラマでは編集部員が5人もいるし、黒木さん演じる主人公は、記者の域を超えて刑事や探偵ばりの取材をしますからね。
『うっせぇわ』のAdoさんを彷彿とさせる覆面シンガーの正体を暴いたスクープ記事が10万PVを突破したと喜ぶシーンがありましたが、ワイドショーで取り上げられるようなスクープなら、ケタが2つ違いますよ」(前出のネットニュース編集者)
週刊誌で連載を持つ吉田さんも、違和感を指摘する。
「出版社やネットニュース事情を知らない視聴者には普通に映るのかもしれませんが、周りのメディア関係者からはブーイングだらけです。まずネット時代の今、会社のデジタル部門があんな端っこに追いやられているわけがない。
経理部から来たばかりの主人公はSNSにアップされた写真から真実にたどりつきますが、記者経験もない主人公が気づくようなことなら、ネット民の“特定犯”がとっくに指摘していますよ(苦笑)」