1日1回のあご体操で心身の不調が消えていく
習慣になっている噛みしめや姿勢はなかなか直せない。そこで、湯山さんは自宅でできるセルフケア「あご体操」を考案した。次の2つの体操は、硬くなったあごの筋肉をストレッチさせ、顎関節の動きをスムーズにする。
「それぞれ1分間ずつなので、朝起きたときや仕事の合間など、隙間時間にぜひやってみてください。ひとまず1週間、毎日続けたらきっと身体や心に何かしらいい変化が現れるはずです」
あご体操を実践した女性(32歳)は、「最初は信じていませんでした(笑)。でも、1週間、1か月と続けていくと朝のモヤモヤが消えていって。今は薬を飲まなくても平気になりました」と話す。
また、湯山さんの整体院に通いながら毎日、あご体操を続けた、うつ病で休職を繰り返していた男性(43歳)は、半年ほどで完全に復職できた。
「もちろん生活習慣の見直しも効果的です。意識的にあごを引くようにしましょう。食事のときは30回以上噛んで。仕事でパソコンを長時間使う人などは、1時間に1回立って、少し歩くといいですよ」
リモートワークでパソコンを使うなら、立ったまま仕事ができるスタンディングデスクを使うのもよい。
「うつだけでなく、身体の不調も軽くなります。心身ともにグッと楽になるので、だまされたと思ってやってみて」
あご体操1 「舌出し」体操
ヨガの動作で自律神経のバランスを整えるのに効果的な「クンバカ」をアレンジ。舌の筋肉がしっかり使えるようになると、奥歯の噛みしめが減り、ストレス緩和の効果が。「舌を出すと活力が湧く効果もあるので、朝イチに行うといいですよ」(湯山さん、以下同)
【やり方】
舌を突き出し3秒で吸って7秒で吐く
力を抜いて立ち、両手は身体の横に自然に垂らす。上を向いて舌を大きく天井に向かって突き出したら、そのままの姿勢で3秒間かけて鼻から息を吸い、7秒間かけて吐き出す。これを1分間続けて。
あご体操2 あごゆるめ
硬くなりがちな咬筋をほぐす体操。「奥歯を噛みしめがちな人は、咬筋が硬くなっている可能性大。咬筋と顎関節に余計な負荷をかけないよう、しなやかにリセットしましょう」
【やり方】
口を半開きにして“あぐあぐあぐ”
口を半開きにして、奥歯のくぼみのあたりに親指を軽く当てる。そのままの状態で“あぐあぐあぐ”といった感じで、口を軽く開け閉めする。1分ほど開け閉めを繰り返す。
教えてくれたのは…湯山 卓さん ●AGO global代表取締役。6万人以上施術の整体師。あごから自律神経失調症やうつ病のお悩みを解決する専門家。独自のメソッドスクール生は全国200名を超える。
〈取材・文/遊佐信子〉