本来の明るい柏木由紀子を伝えたい

新旧のファッションを組み合わせた、センス抜群のコーディネートの数々 (c)冨田望
新旧のファッションを組み合わせた、センス抜群のコーディネートの数々 (c)冨田望
【写真】最愛の夫、坂本九さんとの貴重ツーショット

 今回の本は自宅で撮影した写真も多いが、まるでスタジオのように絵になる場所ばかりで、インテリアにも柏木さんのセンスが感じられる。

 本の制作を担当した扶桑社の池田裕美さんは、柏木さんの仕事に対する姿勢に感服したという。

「素敵なご自宅はもちろん、柏木さんのお気に入りのカフェや公園でのロケも敢行しました。狭いロケバスの中で何着もお着替えいただき、申し訳なかったのですが、ティーンのモデルさん並みにお着替えが早くて、びっくりしました。昔のロケではスタイリストさんもヘアメイクさんもいないことが多かったそうですが、ご自身でスタイリングを決められて、前日までに持ち物すべてをご準備いただくことは、さぞかし大変だったと思います」(池田さん)

 表紙がなかなか決まらず、フォントと文字色、写真を組み合わせて、40パターンほどを柏木さんに見せ、そのうえフォロワーさんからもご意見をいただいて検討を重ね、OKをもらった。

「ご自身のイメージしている世界観を表現するためには手間を惜しまない、柏木さんの穏やかながら芯のある姿勢が表れていましたね」(池田さん)

新旧のファッションを組み合わせた、センス抜群のコーディネートの数々 (c)冨田望
新旧のファッションを組み合わせた、センス抜群のコーディネートの数々 (c)冨田望

 洋服選びでは、柏木さんが価格やブランドにこだわっていないことにも驚いたという。

「われわれはどうしても『高いものがいい』『ブランドのものは素敵』と思ってしまうのですが、柏木さんにとっては気に入ったものはノーブランドでも、お手頃な価格でも、価値あるものなんです。逆にどんなに高くても、ブランドのものでも、好みに合わないと魅力を感じないのだなと思います。『そのものの価値』を感じ取れる感覚がさすがです。私の母より年上なのですが、膝上丈のスカートをはかれていて、似合っていることにもビックリしました」(池田さん)

 撮影時には柏木さんの意外な一面も見えた。

「あんなにスリムなのに撮影時のランチでは、揚げ物やチーズののったラザニアなどを好んで召し上がっていたのも意外です。麻雀好きというのも驚きました。本作りが終わったら麻雀をやりましょうと誘っていただきました(笑)」(池田さん)

 池田さんはこの本を通して、柏木さんの本来の明るさを伝えたかったという。

「メディアのイメージがどうしても“坂本九さん夫人”“事故でご主人を亡くされた女優さん”といった陰のあるほうにいきがちですが、本来の柏木さんは明るくてチャーミングで、おちゃめで、人を笑顔にする力のある方です。大きな事故でご主人を失って、たくさんご苦労をされてきたので、メディアに出るときはいつもその話題です。これまで出された2冊の本も事故のことを中心に書かれたものでした。でも今回の本では、これまでクローズアップされなかった柏木さんのおしゃれで華やかな部分をご紹介しています。柏木さんが前を向いて歩いてきた道のりと本来の明るいキャラクターをお伝えできていればいいなと思っています」(池田さん)

 読者からは「ファッションブックだけれども、生き方を教えてもらえる本です」「私のバイブルです」「毎日読んで元気をもらっています」といった声が届いているという。

「サイン本を販売している書店さんもあったのですが、1~2日で完売してしまって……。何度か追加で書いていただいています」(池田さん)

 出版記念のファンミーティングを開いたが、1回では入りきれず、2回の開催となるほど大人気だ。

「ファンの方が大勢来てくださり、北海道や九州からも駆けつけてくださって本当にうれしかったです」