目次
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ー 骨盤の後傾が便秘を引き起こす要因に
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ー 朝食前に自分のペースで
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ー 直腸を“まっすぐ”にする新習慣

便秘は若い女性に多いイメージが強いですが、シニア世代になると男女問わず悩む方が増えています」

骨盤の後傾が便秘を引き起こす要因に

 そう話すのは柔道整復師の高林孝光さん。

その原因は大腸の“出口”にあります。ホースが出口で折れ曲がっていると、水の出が悪くなりますよね?

 だから、ホースをまっすぐにすれば、スッキリ気持ちよく出すことができます。そのホースの出口をまっすぐにする方法を試してもらうと、多くの方がその効き目にびっくりします。ホースの出口とは、肛門近くの直腸を指すんです」(高林さん、以下同)

 便秘の主な原因は加齢や運動不足、食物繊維や水分の不足などだが、高林さんは自身の専門分野である「骨格」や「姿勢」に着目した。現代人の骨格や姿勢の悪さが、便秘と深く関わっているのでは、と思ったのだ。

日本人は骨格の形状から、出口である直腸の曲がりが強いとされています。洋式トイレに背筋を伸ばして座った姿勢だと、直腸に対して肛門が後ろ向きになり、便がスムーズに出にくいため、便秘になりやすい」

直腸は曲がっており便がたまりやすい イラスト/やまだやすこ
直腸は曲がっており便がたまりやすい イラスト/やまだやすこ

 和式トイレが主流の時代では、いわゆる「ヤンキー座り」の姿勢をとっていたので、直腸がまっすぐに近づくので肛門への負担が少なく排便できたのだという。

「洋式トイレへのシフトなど、生活様式の変化は便秘が増えた大きな要因ですが、もうひとつ見逃せないのがスマートフォンやパソコンの利用。

 骨盤が後ろに傾いた『骨盤後傾』の姿勢で長時間の作業をすると、まっすぐ立っても“背骨が曲がって下腹が出て、骨盤が後ろに傾いたまま”の姿勢が常態化します」

 普段からこのような直腸を圧迫する姿勢をとっているのも便秘を慢性化させやすい。

 骨盤後傾タイプかどうか確かめるには、ヤンキー座りをためしてみて。足のかかとを床につけ、しゃがんだ姿勢をしばらくキープできず、すぐに後ろに倒れてしまうなら可能性大だという。

「このタイプの人は、トイレに行ったとき上半身を前方に倒して前かがみの姿勢をとると、排便しやすくなります。

 直腸に圧力をかけやすく、大腸をまっすぐな形状に近づけられて便がツルリと出ます。前かがみの姿勢がとりにくい人は足の下に台を置くと安定しやすいです」