郷土でなじみの素材を
「汁ものや煮物の味の決め手は、“だし”。私は煮干しをもっともよく使います。鍋で煮出すこともありますが、便利なのは“水だし”。保存容器に煮干しと水を入れて冷蔵庫で保存しておくだけのほったらかしです」
いつでもさっと取り出して使え、少量のだしが必要なときや、茶碗蒸しなど冷たいだしが欲しいときにも重宝する。
「カルシウムをしっかりとりたいときには、煮干しをまるごと粉状にした“煮干し粉の水だし”が便利。ただし、汁がにごるので、すまし汁には不向き。
濃厚なだしをとりたいときには、煮干しに昆布、干ししいたけ、大豆をブレンドした“旨(うま)だし”がおすすめ。薄味に仕上げたいすまし汁や煮物に向いています」
保存の目安は、どれも冷蔵で3日ほど。そんなだしを使いつつ、郷土でなじみの素材を使った“汁もの”を2つ紹介する。
「“いり菜汁”は青菜を炒めて汁仕立てにしたもの。信州では野沢菜を使い、大鍋でたっぷり作ります。ここでは、みそ仕立てにしてみました」
野沢菜の代わりに小松菜などでもよいそう。
もうひとつは、すんきのみそ汁。すんき漬けは、長野県木曽地方に古くから伝わる保存食。
「赤かぶの葉を乳酸発酵させたもので、漬物ながら、塩をいっさい使わないのが特徴です。すっきりした酸味があり、そのままお茶漬けにするのはもちろん、みそ汁に入れるのがお気に入りです」
すんき漬けには、20種類以上の乳酸菌が多く含まれているといわれているそう。おすしを作る際、刻んですし飯に混ぜるのもおいしい。