治療を終えても繰り返す“再発”

 その後に行った手術でリンパ節の転移も発覚。子宮と卵巣に加え、骨盤内のリンパ節も切除した。

「術後は卵巣欠落症の症状で、急なほてりが数日おきに起こりましたが、排尿障害などの後遺症とは幸い無縁でした。でもその後の抗がん剤は、吐き気や倦怠感、脱毛など、辛い副作用が続いて本当に苦しかったです……」

 必死の思いで抗がん剤の最後のクールを終えた2012年の春、善本さんの願いも虚しくお腹のリンパ節に再発が見つかってしまう。

「あれだけの思いをして抗がん剤を終えたばかりなのに、なぜ?という失望と不安、恐怖でいっぱいでした。気持ちの整理がつかないまま、すぐに2回目の抗がん剤治療、そして放射線治療も行うことに。がんになってからなぜか臭いに敏感になっていたので、放射線室特有の臭いが嫌で嫌で仕方なかったのをよく覚えています」

5度のがん再発を経験するも、現在は10年間再発していないという善本考香さん
5度のがん再発を経験するも、現在は10年間再発していないという善本考香さん
【写真】肺に転移したがんを摘出した際の背中の傷痕、壮絶な手術で象のように腫れた

 放射線治療を乗り越えた善本さんに待っていたのは「3度目の再発」。検査で肺などに見つかったのだ。

「主治医は抗がん剤ならまだできると言ってくれましたが、どう考えても抗がん剤だけでは治らない。実際、あとから主治医に聞いたところ、このとき“生存率0%”と言ってもいい状態だったとのこと。命の危機を本当に実感して、助かる方法を探すために必死で勉強しました」

 そしてセカンドオピニオンを受け、その後、さまざまな治療法を受けたという。

「転移した肺の手術をはじめ、高濃度の抗がん剤を病巣に入れる治療や、加速した炭素粒子を病巣に照射する重粒子線、高周波の電流で病巣を焼き切るラジオ波焼灼術など、5種類もの治療を受けました。その間にも肝臓など全身の転移が2度発覚しましたが、2013年12月にすべてのがん細胞を消滅させ、“残存病変ゼロ”になりました」