目次
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ー ありのままの暮らしが長寿のヒケツ
Page 2
ー 薬は一切飲まない 
Page 3
ー 3食すべてを手作り

 

 人生100年時代とはいうものの、50代あたりからはあちこちに不調が出てきて、元気に年を重ねていくことの難しさを感じている人も多いのでは? そんななか、「私は大人になってから病気らしい病気をしたことがないんです」と語るのは、この1月に89歳を迎えた生命誌研究者の中村桂子さん。

ありのままの暮らしが長寿のヒケツ

 57歳の時に創立した「生命誌研究館」の館長を84歳まで務め、退任後もできる範囲で仕事を継続。今も仕事を始めたころとまったく同じ気持ちで日々を過ごしているという。元気のヒケツを伺うと、中村さんが研究を続ける「生命誌」の基本である「人間も自然の一部である」という考え方と、それを実践する暮らしぶりが見えてきた。

「根がのんびり屋で。私の辞書に〜ねばならないという言葉はないんです。子どものころからあるがままに生きてきて、その時その時の今が好き。誰かと自分を比べたり、競争することもまったく考えませんでした」(中村さん、以下同)

  そうした考えは、生まれ持った性質もあるが、両親の影響も大きかったという。

「両親から、〜しなさいとか、〜してはいけませんと言われたことはありませんでしたね。私が学生だったころは、女の子だからこれをしてはいけないと言われることも世間では多くあったんです。女の子は学校なんか行かなくていいと親から言われ、悔しい思いをしているお友達もたくさんいました」

 しかし、中村さんが大学を終え、大学院に進学したいと伝えた時も、父は「ということは、花嫁姿はないということかな……」とつぶやいたのみで、反対はしなかった。

「当時はまだ、職業を持つ女性が結婚をするのはなかなか難しい時代でしたから。その後、時代の変わり目を迎えて結婚はしましたけど(笑)。やりたいことをやってはいけないと言われなかったおかげで、自分の好きなことをひたすら一生懸命やってこられましたし、誰かに勝とうという気持ちもないから、すごく気が楽。それはとてもありがたかったですね」