毎朝の習慣にして腸から若返り
効果を最大にするためには、取り組む時間も鍵に。
「自律神経は朝に、リラックス時に働く副交感神経から活動時に働く交感神経に切り替わります。この切り替えがうまくいかず自律神経のバランスが乱れると腸の働きも悪くなりますが、朝の30秒腸活を習慣化すれば、自律神経がスムーズに切り替わるようになります」
実践した患者さんからは、〈頑固な便秘が改善して肌の調子がよくなった〉〈お通じが規則的になり、1か月たたないうちに体脂肪率が2%減少。五十肩も治り、夜ぐっすり眠れるようになった〉といった喜びの声が届いているそう。
運動療法の効果は、研究でも証明されている。
「アメリカのイリノイ大学では、座りっぱなしの生活をしている人に6週間持久力を鍛える運動をしてもらい、腸内環境の変化を調べる研究が行われました。その結果、腸の健康を維持するのに必要不可欠な〈短鎖脂肪酸〉という物質の濃度が上がることがわかったのです」
短鎖脂肪酸はビフィズス菌などの腸内細菌が作る身体に良い産生物。つまり30秒腸活によって、加齢による腸内環境の悪化も防げる。
「腸内環境がよくなれば、便秘だけでなく下痢やお腹の張り、おならの臭さなどのトラブルもよくなります。それだけでなく自律神経のバランスが整い、免疫力が高まり、血液もきれいになるので、肌のトラブルやアレルギー、風邪、うつ病などさまざまな心身の不調を遠ざける効果も期待できます」
毎朝の30秒腸活で身体全体の健康もキープ!
全身のばし
(1)足を肩幅に開いて立ち、手を頭の上に伸ばして、手首を交差させる。
(2)息を吐きながら上体を左に倒して、息を吸いながら戻る。
(3)息を吐きながら上体を右に倒して、息を吸いながら戻る。
(4)息を吐きながら上体を前に倒して、息を吸いながら戻る。
(1)〜(4)を30秒間繰り返す。
腸もみ呼吸法
(1)足を肩幅に開いて立つ。両手は肋骨の下をつかむように、お腹の横に当てる。
(2)腸をもみながら、ゆっくり背中を反らして、3秒鼻から息を吸う。
(3)腸をもみながら、ゆっくり上体を前に倒して、6秒口から息を吐く。
(1)〜(3)を30秒間繰り返す。
お話を伺ったのは……小林弘幸先生●順天堂大学医学部教授。自律神経研究の第一人者として、トップアスリートやアーティスト、文化人のコンディショニング、パフォーマンス向上指導にも携わる。順天堂大学に日本初の便秘外来を開設した“腸のスペシャリスト”としても有名。著書に『腸の名医が30年かけてたどり着いたお腹が弱い人のための30秒腸活』(アスコム)
取材・文/中西美紀