——どのような方が野田さんのもとでCDを出しましたか?
「雛形あきこ、MEGUMI、佐藤江梨子、歌えない山田まりやも出したかな。あの細川ふみえだって、歌唱力はあやしいけど、いま考えるととんでもない方に作詞作曲してもらっていたしね。僕はタレントを育てていくうえでグラビアばっかりやっていてもダメで、むしろレコードやCDを出したときにはじめてこの業界におけるデビューだと思っていたし」
——そのような売り出し方はいまも同じですか?
「いまは昔みたいに雑誌も売れないから、グラビアをやったとしても名前はあまり出ないよね。ただ、なくなったりはしないと思う。
最近だと、そういったなかから橋本マナミとかが出てきているからね。だからいまだに胸の大きな女の子たちは、"グラビアをやったらすぐスターになれる"と単純に考えて、この業界に入ってくるけど、そんなことはあり得ない」
——胸が大きいだけではダメなんですか?
「そもそも胸だけでスターになった子はひとりもいないよ(笑い)。胸の大きさもひとつの個性としては大切だけど、喋りが面白かったり、変わった特技があるとか、なんらかのプラスαがないと特にこの時代では売れないと思う」
——そんななか、いま野田さんイチオシのタレントさんは?
「いつも聞かれたら、“全員だよ”と答えています。ひとりだけこの子っていうのは言えないんだけど、あえて言うならば中高校生の芦田美歩と、早乙女ゆうかな〜。若い子どもたちを大事にしていこうと思っていますよ。
マネジメント側にはその子たちの人生を狂わせてしまうリスク、そしてそれにともなう責任だってあるから。やっぱりタレントさんはモノではなくて生身の人間。
だから、採用するときは直接会って話しをするようにしてる。人の繋がりで預かった子もいれば、自分がいいな〜と思って入ってきた子もいるけど、どんな状況でも預かる以上は我々にも責任があるからね」
——生身の人間とモノとでは、その向き合い方は当然、違いますよね。
「そう、だから一番嬉しいのは“社長、結婚します!”って言われたときに心からほっとしますね。ほかの事務所は嫌がるかもしれないけど、俺にとってはね。やっぱりその感覚がないと無理ですよ。
どこの事務所もそうだと思うけど、いわゆる家族みたいな愛情が根底にないと、タレントのために仕事を一生懸命やれないんじゃないかな」
——そこまで、頑張れるのはなぜでしょうか?
「この芸能界の人たちと話すことも好きだし、怒られることも怒ることも好きだしね、すべてが勉強になるのは大きなモチベーションになっている。
でもね、カッコいいことを言って終わりたいんだけど、やっぱり最終的には女の子が好きってことです。ようはスケベだってことよ(笑い)」
野田義治(のだ・よしはる)●1946年富山県生まれ。1980年にイエローキャブを設立。堀江しのぶ、かとうれいこ、雛形あきこ、山田まりや、MEGUMIなどの人気タレントを育てた。'04年11月、イエローキャブを離れ、サンズエンタテインメントの会長に。