食事も性行為も傷だらけ覚悟

 皮膚の病気というと誤解されやすいが、実は傷つきやすいのは皮膚だけではなく粘膜も同様。なにかを食べると口や食道が擦れるため、食事は常に大ケガ覚悟で臨まなければいけないという。

「でも、痛みさえ我慢すればけっこうなんでも食べられますよ。だって、なにかを口の中に入れて噛めば、どうしたって口の中は傷つくので、気にしていたらキリがない。調子がいいときは傷ができるのはあまり気にせずにおせんべいだって、じゃがりこだって、もりもり食べちゃいます(笑)。ただ、やりすぎて口が半分くらいしか開かなくなりました。傷ができて治って、を繰り返しているうちに、口の中の粘膜が縮んじゃったみたいです」

 そう言って照れたように笑うが、口を大きく開けて笑えられないのは症状のせいなのだ。

食道も基本ただれています。特に、お肉やイカ、タコなど噛み切るのが難しいからって無理に飲み込むと、食道の中で擦れて水ぶくれができる原因に。だから、そうならないようにハサミで細かく切って食べています。これもあまりひどくなるとなにも飲み込めなくなって……。自分の唾液を飲み込むのにも激痛が走るんです。そうなると入院するしかない。だから、だいたい年に1回くらい食道の傷が原因で入院している感じですね

 現在、彼女のもとには、SNSを通して、さまざまな質問が届く。同じようにつらい皮膚病に悩んでいる人からのものあれば、単なる好奇心というものも少なくない。

 なかでも多いのが、去年入籍した「旦那」や恋愛にまつわる話だという。

「性行為はできるの? という質問は多いですね(笑)。そりゃそう思いますよね、わかります。で、これはあくまで私の場合ですけど、できます。もちろん、慎重にしていただく必要はあるんですけど。そもそも、性行為自体、皮膚が密着して擦れることが多いので、そのリスクが最小限で済む正常位のみ。それでも全身傷だらけになります。ちなみに、最中にデリケートゾーンが痛むことはありません。ただ、翌日から切れ痔のような痛みが出ますけど(笑)」

寝ている間は無意識に掻くため、シーツも寝巻きも血で汚れてしまう
寝ている間は無意識に掻くため、シーツも寝巻きも血で汚れてしまう
【写真】寝ている間は無意識に掻くため、シーツも寝巻きも血で汚れてしまう

 しかし、本当に怖いのは傷ができることではないという。

「身体の傷よりも、相手の反応のほうが心配でした。いまの旦那は優しいし理解もありますけど、過去の恋愛では行為に及ぶまでに、相手に何度も何度も確認しました。『こういう体だけど、いいの?』って。運がいいことにいいよ、って言ってくれる人ばかりでしたけど、それでもいざ見せるとびっくりされましたね。でも、私はこの病気のせいで恋愛に消極的になったことはないんですよ。だってもったいないじゃないですか、そんなの。そこは強く主張したいですね(笑)」