年齢によっても変わる医者との付き合い方
多くの人が“気軽に”医療機関を利用する現在の日本の状況は、いくつかの理由が重なって生まれた。ひとつは誰でも保険医療が受けられる国民皆保険制度があること。
「素晴らしい仕組みではありますが、治療費の10%から30%の費用負担で医者にかかれることで、少し具合がよくないだけでもすぐ病院へ行く、というのが当たり前になってしまいました」
この日本人の習性は、良からぬことを考える“ワルい医者”にとっても都合がいい。
「現在の医療制度では日本の病院は薄利多売でしかやっていけません。風邪や高血圧など軽症の治療では診察料が安い分、多くの患者に何度も来院してもらわなければ経営が成り立たない。
それ以外に国から診療報酬の点数に応じて報酬も得ているので、投薬や検査の回数を増やせばその分、収入を上げられると考える医師もいるのです」
職場で毎年の健康診断やがん検診がほぼ義務づけられたり、日本人の死因第1位だからといってがん検診を自治体がここまでサポートするのも日本だけだ。
「年齢を重ねるに従って身体のあちこちに不具合が出てくるのは、自然の摂理で仕方ありません。40代、50代に入ると少しずつ若いときのようにはいかなくなっていきますが、老化は病院に通えば避けられるわけではありません。
むしろ、年を取っていく自分に慣れ、うまくやりくりをつけるほうが大切です」
2021年時点で日本人の平均寿命は男性が81.47歳、女性が87.57歳。今後も平均寿命は延びていくと予測されている。「できるだけ長く生きる」ことと、「楽しく幸せに生きる」こと、どちらに重きをおくのか。患者がしっかり考える必要がある。