共同生活が苦手な人はNG
共同生活に適性がないと、トラブルに発展しやすい。実際にシェアハウス生活を送る足立一郎さん(80代前半の男性・仮名)は、同居人だった老夫婦に文句を言われたそう。
「その夫婦の奥さんのほうが、軽い認知症を患っていたのですが、ご主人が“うちの妻がこのシェアハウスで仲間外れにされている”と周囲に言い出して。私たちも奥さんに話しかけてはみたものの、うまく会話ができなかったので、様子を見ていました。疎外していたわけではないのですが……。
シェアハウスに入れば周りに気を使ってもらえて、サポートまでしてもらえる。将来的には介護まで手伝ってくれるのではないか、という思惑がこちらの夫婦にはあったようですが、私たちも他人の面倒を押しつけられても困りますし。結局、退所していきました」
共同生活のいざこざは人間関係だけではない。都内に住む渡辺茂さん(70代後半の男性・仮名)の同居人だった男性は、金銭面で不満をあらわにしていたという。
「自分は毎日お茶を飲むわけではないのに、共用スペースでのお茶代の徴収には納得いかない、と。共同生活はゆずり合いや妥協の気持ちがないと難しい。
年金で暮らしている人が多いのでお金に細かくなるのもわかりますが、入居時に決められているルールがあるのですから守れないなら、最初から入ってこないでほしい」
満田さんも「管理費の使い道に文句を言う人や、金銭面の問題が退去につながるケースは珍しくない。家族で同居していたってお金の問題はシビアなのに、これが赤の他人ともなると、日々神経をすり減らしたり大問題に発展することもあります」と話す。
では、“向いている人”はどういう人なのだろう。
「これからどういう人生を送りたいのか、優先順位が決まっている人です。家賃が多少高くても利便性の高い都市部に住みたいのか、のんびり郊外なのか。郊外の場合は車がないと出かけられないことが多いので、そのあたりも物件選びにおいて必須になってきます」